2010年8月19日木曜日

英語学習について(会話中心の勉強法の虚実)-続き

<5> リスニングと脳の機能

この様に書いてくると、「耳」の機能を無視していると誤解されるので、もう少し丁寧に「聴く」作業を分析したいと思います。

リスニング力は、英語の入り口である「耳」の能力+耳から入った文章を解析する脳
の能力によって決まります。
入り口となる「耳」が機能しないと、リスニングは成立ちませんので、当然英語の音を
捉えるだけの耳の力は必要です。ですから英単語の正しい発音を知ることは重要で
す。

私が中学校で英語を習い始めた頃、教科書には、新しい単語の横に発音記号が記載
されていました。ゆとり教育の影響か、いつの頃からか発音記号の記載はなくなり、
英語を習う生徒が、英単語の読み仮名をカタカナで振るのを、目にするようになりました。
当然のことながら、英語の発音はカタカナでは記載できないので、発音記号を習い、
正しい英単語の発音を学ぶことは非常に重要です。

正しい発音を知り、文章の中でどの様に個々の単語が発音されるかを知れば、耳の機
能(音を捕まえる機能)に必要以上にとらわれるのは得策ではありません。
あとは、その耳から入ってくる英単語や文章を、入ってくるスピードで消化する(理解する)
脳の機能を鍛えることが何よりも大切です。そして、この脳の機能は「読む」ことによって
も鍛えられるのです。

ご承知の様に、英語はアクセントの強弱が激しく、弱い音を聞き分けるのは、我々日本
人にはかなり困難なことです。しかし、リスニングにより文章を理解するのに、一言一句
すべてを聞き取る必要はありません。例えば I am a student. の「a」が聞き取れなくても、
文章は理解できます。
これは弱く発音される語の例ですが、例えば馴染みの薄い(又は知らない)単語の場合
でも同じです。
China weaves together a social safety net. という文章で、weavesが聞き取れなくても
文の概要は理解できる人が多いと思います。前後の脈絡から脳が補ってくれるからです。

先に触れたように、リスニング力は「耳」の力+「脳」の力であり、「耳」の力が不足していれ
ば、脳が補ってくれるのです。この脳の力は文章理解力であり、「読む」場合も、「聴く」
場合も、同じ脳の文章理解力が使われるので、ゆっくりしか読めない人はゆっくりした英文
しか聴くことはできませんし、速読できる人は、速い英文も聴くことができます。
そして、脳の力が増せば増すほど、耳の不十分なところをたくさん補ってくれます。スピ
ードにも対応できますし、聞き取れない語句を、前後の脈絡から補ってくれます。

もちろん、耳の機能が不足しすぎて、例えば文章の中の1/3の単語が聞き取れない様
な場合はお手上げなので、繰り返しになりますが、ある程度の耳の力は必要です。

文章でなく、個々の単語の音を捉える場合においても、脳にとって、その単語になじみ
が深ければ深いほど当然、耳は音を捉えられやすくなります。
英語は、文章の中のアクセントの強弱も激しいのですが、一つの単語の中でのアクセ
ントの強弱も激しく、例えばinteresting の最初のinはよく聞こえるが、途中のsは聞こえ
ないという様なケースは多いはずです。この様な場合、interestingは中学校で学ぶ様
な基本単語で、脳にとってもなじみが深いので、少々聞こえなくても、脳がこの単語を
認識できます。 しかし、馴染みの薄い単語の場合、聞き取れない部分があると、
脳の認識は難しくなります。

例えばintrigueという単語を完全に耳が聞き取ったとしても、この単語を知らなければ
脳は認識せず、「音」を聞き取っただけで、意味のある英語としては聞き取れないと
いうことになります。
intrigueのアクセントの弱い部分のinが聞き取れず、後半のtrigueだけ聞き取れたと
しても、この単語を良く知っていて、馴染み深ければ、脳はintrigueと認識します。
つまり、耳の聞き取りは不十分でも脳は認識し、意味のある英語としては、聞き取りすることができたことになります。

つまり、馴染みの深い単語を増やせば増やすほど、単語力をつければつけるほど、
脳の理解力を高める程、耳の足りない力を補ってくれ、ひいてはリスニング力の
アップにつながっていきます。
逆に、耳がいくら鍛えられ、音を正確に捉えることができても、その意味を理解する
脳が不十分ならそれは単なる音であって、意味を成す語句や文章にはならず、
リスニング力アップにはつながりません。

要するに、「聴く」力つまりリスニング力=「耳」の能力+「脳」の能力で、「耳」は音を
捉える機能を果たせば十分で、その不足するところは脳で補う。脳の果たす役割は、
耳の役割よりも重要であると言えます。

次回に続く

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